「友達になりたい」と思わせる庶民性
その日、ステージに現れたハリスには堂々たる風格がありました。参加者が後で口々に語ったハリスの印象は、「明日から大統領になれる」という存在感です。
私は予備選の取材で20人の候補に会ったのですが、その中でもハリスの存在感はトップクラス。ヒラリーにもこの風格があったのですが、ハリスにはそれに加えて、「友達になりたい」と思わせる庶民性がありました。
一緒に取材していたマーケティング・ストラテジストである私の夫が「家族と仕事以外で、あなたが情熱を抱いていることは何ですか」と質問すると、ハリスは、即座に笑顔で「それは素晴らしい質問ですね」と答え、「家族と政治以外だと……私は料理が好きなんです」と母から料理を習い、日曜に大家族が集まって食事をする「団欒」を大切にしていることを楽しそうに語りました。
音楽が大好きで、ボブ・マーリーが特に好きだという話になると会場にいたマーリーのファンたちから拍手が起こり、和気あいあいとした雰囲気になりました。
講演が終わって、私がハリスの妹のマヤからキャンペーンについて話を聞いている時、ハリスが私の隣にいる夫のところにやってきて、ステージでの回答の続きを話し始めました。
テーマは「ボブ・マーリーの音楽」です。自分が好きなミュージシャンの話を情熱的に語るハリスは、まるで昔からの友人のような感じです。ステージに現れた時の風格と庶民性の組み合わせは、若い頃のビル・クリントンのカリスマ性に通じるところがあると感じました。