私の世代には歴代天皇を暗記しろという教えはなかったが、定期試験の前になるとひたすら暗記に精を出したものである。特に歴史の年号。
「なんと美し平城京」
「鳴くよウグイス平安京」
世界史でいけば、
「オットー一世苦労人」
「十六でパパになる」
誰が十六歳でパパになったのか、何が起きたのかはとんと覚えていないが、大きな事件が一六八八年に起きたことだけはたしかである(ちなみにそれはイギリスの名誉革命が起こった年だった)。
電話番号もしかり。自分の家の番号だけでなく、友達の家の番号も十人ぐらいは頭に入っていた。
今は暗記を必要とすることがなくなった。かろうじて覚えているのは自分の携帯電話番号ぐらいで、もし携帯電話を落としたら、どこにも連絡できないだろう。
私がさらに高齢になってそらんじられるのは、中学の校歌と主の祈りぐらいか。
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