恋する女性の気持ちは1000年前も同じ
――ずいぶん急なお話だったのですね。
そうなんです。出演が決まってから、慌てて和泉式部について調べたり、『和泉式部日記』や『源氏物語』の現代語訳を読んだり。5月頃から撮影に入ったため、あまり時間はなかったのですが、京都にある和泉式部ゆかりの誠心院(せいしんいん/和泉式部が初代住職となり創建)や貴船神社(歌に託して夫〈他の男性という説も〉との復縁を祈願したと伝わる)にも足を運びました。
(『源氏物語』の舞台である)宇治をはじめ、紫式部や『源氏物語』は、以前からわりと身近な存在ではあったんです。でも、この作品のおかげで平安時代に興味がわき、京都をもっと知りたくなりました。
訪ねたい場所もたくさんあります。祇園祭にも、和泉式部ゆかりの山鉾(注)があるそうなので、ぜひ見てみたいです。
注・「保昌山(ほうしょうやま)」のちに和泉式部と結婚する丹後守・平井(藤原)保昌(やすまさ)が、彼女のために御所・紫宸殿の紅梅を手折ってくる姿を表現している。古くは「花盗人山」と呼ばれた。
――夫のある身で、冷泉天皇の皇子、為尊(ためたか)親王と恋に落ち、親王の死後は、その弟・敦道(あつみち)親王と結ばれる。ところが、敦道親王も若くして亡くなり、その服喪後に、中宮彰子に仕えることになるわけですよね。そんなドラマチックな人生を送った和泉式部について、どんな印象をお持ちですか。
自分の心に正直に生きていて素敵ですよね。親王さまを立て続けに亡くしただけではなく、晩年は娘(小式部内侍)にも先立たれたと聞きます。恋多き華やかな人生だったかもしれないけれど、同時に、大切な人たちとの別れに苦しむ日々でもあったのでしょう。
和泉式部は1000年前を生きた女性ですが、恋する気持ちは、今も昔も変わらないんだなぁ、とも思いました。恋愛が生きがいになったり、日々の励みになったりする。同じ女性として、共感できます。