記者と官僚の同質性
佐藤 西村さんはそうだよね。でも大新聞社の記者ほど、国益という言葉に弱いイメージがあるよ。それもエリート的な同質性なんだろうけれど。
そういう意味では週刊誌やフリーランスの記者のほうが、大新聞の多くの記者よりも手強(てごわ)かった。なんせ、国益なんか知ったこっちゃねえ、日本の外交がどうなろうと俺が飯を食うために取材してるんだ、っていう生活者の論理が強い。軸が強固にある。彼らにとって関心があるのは真実かどうかだけ。ガセネタを記事にしたら次から仕事が来なくなるから。
ただこちらとしては本当に差し支えがあると困るから、そういうタイプはとても面倒だった。
西村 週刊誌やフリーランスにはない、記者と官僚の同質性、特にここでは「エリート体質の同質性」ってやつが顔を出してくるんだね。佐藤さんが国益を盾にして記者を説得した例ってある?
佐藤 たくさんあるよ。たとえば、情報公開の一端で、外務省のある職員が某新聞社の記者に間違えて機密書類を渡しちゃったときに、大事にならないよう手を打ってもらったとか。