善人のふりをして国益を盾にする
佐藤 そこで私が「つまり、善人のふりをしろ、ということですね」と確認したら「まあ、そういう言い方もあるかもしれないけれども」と。
西村 なるほどね(笑)。それでお願いベースで話し合いをしたんだ? でもその記者としてはそれほどの特ダネは惜しいに決まっているでしょうね、いくら公にしたくない行状を佐藤さんに握られているとは言っても。
佐藤 そこで国益を盾に誠実な交渉をするんだよ。まず小さな部屋に呼び出して、二人きりで静かにコーヒーを飲みながら仕事上の苦労の話をする。そして少し経ったところでおもむろに切り出すわけ。
実は、あなたたちに間違えて内密の文書を渡してしまったと聞いている。記者として、情報を得た以上は書かなければいけない使命があることもよくわかる。
しかしそれがそのまま大きく扱われると、日本外交において本当に実害がある、って、事実を淡々と話した。