「初めての収録は、素っ裸で戦場に放り込まれたような感覚でした」(撮影:本社・武田裕介)
大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合 毎週日曜 夜8:00~ほか)で、織田信長に命を奪われた弟・信勝の遺児・織田信澄を演じている俳優・緒形敦さん。中学卒業後アメリカの高校へ入学し、ファッションデザイナーの道を志すも、「ある出来事」がきっかけで俳優になることを決意しました。2017年、21歳の時に日曜劇場『陸王』で俳優デビューを果たします。祖父は緒形拳さん、父は緒形直人さん、母は仙道敦子さんと俳優一家に育った敦さんに、信澄役を演じるにあたっての心境や、家族との関係について聞きました。(構成:かわむらあみり 撮影:本社・武田裕介)

前編よりつづく> 

憧れの山田孝之さんを追いかけて

僕はもともと、山田孝之さんのお芝居がすごく好きでした。きっかけは福田雄一監督の群像コメディ映画『大洗にも星はふるなり』(2009年)を観たことです。

かなり振り切ったコメディ作品なのですが、とにかく面白くて、20回は観ています(笑)。山田さんをはじめ出演者のみなさんがいきいきしていて、「こんなに自由にお芝居していいんだ」と感じさせてくれました。

俳優を志して帰国したあと、まず調べたのが山田さんの所属事務所でした。スターダストプロモーションだと知り、自分で応募してオーディションを受けたところ、合格することができました。今では山田さんは同じ事務所の先輩です。(笑)

事務所に所属後は、演技のレッスンを重ね、2017年に日曜劇場『陸王』でデビューしました。ただ、初めての収録では、カメラの前でお芝居をすることがレッスンとはまったく別物であることを痛感し、愕然として…。本読みの段階から名だたる役者のみなさんが集まっていて、まるで素っ裸で戦場に放り込まれたような感覚でした。(苦笑)

撮影現場の進行など知識がまったくない状態だったので、同じシーンを何回も撮ること一つとっても戸惑うばかりでした。ただ、そうした状況でも結果を残せる人は残せる。僕自身は対応しきれず、とても悔しい思いをしました。その悔しさがあったからこそ、「もっと努力しなければ」と気持ちが強くなったのだと思います。

実は、『陸王』の脚本を手がけた八津弘幸さんは、『豊臣兄弟!』の脚本家でもあります。こうして再びご一緒できて嬉しいです。まだ直接お会いできてないのですが、僕のことを覚えてくださっていたと聞き、ご縁を感じています。