皇子への思い

藤壺は源氏との逢瀬(おうせ)によって、ついに桐壺帝の第十皇子を出産します。

その皇子がじつは源氏との子であることを知るのは、源氏と藤壺と王命婦の三人だけです。

(写真提供:Photo AC)

桐壺帝は、源氏によく似た男児を抱いて、とても満足しますが、藤壺は罪の思いでいたたまれません。

源氏もその男児を見て沈痛な思いに浸ります。

皇子への思いを、なんとしても藤壺に伝えたいと、王命婦に和歌をあずけますが、正直のところ、返事をもらえるとは思っていなかったでしょう。