老いの不安はあるけれどこの暮らしを続けたい
久美子 私は子どもに頼れないぶん、自分がしっかりしなきゃと思ってきたから、「気持ちが先」で元気なのかもしれない。明日の用事を考えて、前向きな気分で眠るんよ。みっこ姉ちゃんも一人暮らしだから元気なのかな。
美智子 そうね。いまやっているお稽古ごとがいつまで続けられるだろうかというのはちょっと考えるけど、自分の足で歩けるうちは頑張ろうと思ってます。
久美子 人とのつながりがあって、孤独ではないのがいいね。
美智子 私はいま、特別に親しくしている人はいないけれど、お稽古ごとのお仲間がいい人ばかりなの。年下の彼女たちの話を聞いているだけで、アンテナにビンビン引っかかるものがある。それが楽しくてせっせと通っています。
久美子 私は、子どもはいるけど頼れないし、夫も86歳だからいつ介護が始まってもおかしくない。いわゆる「安泰な老後」ではないけれど、そういう状況で《第三の人生》をどう過ごしたらいいんだろうとよく考えるのね。
美智子 そうね。
久美子 そこで思うのが、家族だ他人だというのは抜きにして、身近に家族みたいな関係性が持てる人が何人かいたらいいんじゃないかな、と。ご近所の方でもお友達でもいい。
私の身内は近所にいないけれど、玄関から家族のように普通に上がってくるお友達が何人かいる。そういう人たちとコミュニケーションをとりながら、「亡くなるまでこの生活を続けていけばいいんだわ」と思っています。
息子の今後のことは、福祉の知識や人に頼って、決めることは決めたのでひとまず安心。50代でこの家に来たときは不安だらけでしたが、いまは大丈夫に。
美智子 過去のいろいろな出会いや経験が糧になっているわね。