美智子 あなたはピアノが弾けるからいいわね。
久美子 ピアノは48歳から始めたんよ。もともとは娘が弾いていて、東京の学校に行って就職し、弾き手がいなくなったから、「そうだ、弾いてみよう」と軽い気持ちで始めました。
その娘もがんで、46歳という若さで早逝。本当に悲しかった。けれど彼女の願い通り、終わりの日々をこの家で一緒に過ごして。安らかに逝けたので、幸せな最期だったと思います。
美智子 私は自分が生活するうえで、「風通しのいい家にしたい」というのが一番にあるのね。だから子どもが巣立つたびに、心の中で「万歳!」と言いながら、机やベッドなどをどんどん捨てていきました。夫が亡くなったときも、彼が愛用していたソファを即処分。狭い3DKには邪魔だったの(笑)。捨てられないのは、自分の洋服くらい。(笑)
久美子 私も家族構成が変わっていく過程で、その都度持ち物を整理してきた。とっておきたいものは、義父母のものでもとっておく。みっこ姉ちゃんの部屋はいろいろな作品が飾ってあってカラフルね。
うちは生活が複雑だったので、無意識にインテリアに心を落ち着かせてもらおうと思ったのか、全体的にシンプルで色のトーンもシック。でも、色が恋しいときもあって、少し華やかにしようかな。
美智子 いいじゃない。うちも少しずつ片づけてきたとはいえ、「置いといてもしょうがないな」と思うものがまだまだある。でも、もう整理する気力がない(笑)。だからあとは子どもたちがなんとかしてくれればいいなと思ってるの。
最近では、「お母さんが死んだらこの籠ちょうだいね」とか「この額は僕がもらうよ」とか言ってくれるので、もらい手があるならよかった、とちょっと安心しています。