債券の役割
株式市場のボラティリティ(変動性)を許容するのにも限度があるので、バランス型ポートフォリオには通常少なくとももう一つ、債券という資産クラスが含まれている。
債券を買うのは、政府や企業などの借り手にお金を貸すという行為にほかならない。借り手は将来、利子をつけてお金を返すことを約束する。
債券において重要なのは、借り手の質だ。一番安全とされるのはアメリカやその他の先進国の政府が発行する債券だ。なぜなら企業と違って政府には徴税権があるため、運営に必要な資金を集めることができるからだ。
債券は定額の収入を生み出し、保有者に現金払い利息のかたちで支払われる。債券の価格は金利変動に左右されるため、一番価格が安定しているのは残存期間が短いもの、たとえば満期が1~5年のものだ。
国債は政府が返済を保証しているためリスクが低く、このため株式より一般的にリターンは低い。こうした理由から債券は使えない、金持ちになるのに役に立たないと考える投資家も多い。
だが債券を保有することで、株式を落ち着いて運用できるようになる。それが債券の最大のメリットだ。
株式市場が急落したときも、“退屈な”債券の価格は株式ほど変動しにくい。
それが船を安定させる錨(いかり)のような役割を果たし、投資家が冷静さを保つのに役立つ。さらに債券はデフレ期(モノの価格が下落する時期。20世紀には二~三度発生した)でも価値が保たれるので、運用資産を守るのに有用だ。
古いことわざにこんなものがある。
「株式を買うのはうまいものを食べるため、債券を買うのはぐっすり眠るため」
・参考文献
(1)Charles V. Harlow and Michael D. Kinsman, “The Electric Day Trader and Ruin,” Pepperdine Graziadio Business Review, 1999.
(2)Brad M. Barber et al, “Trading Is Hazardous to Your Wealth: The Common Stock Investment Performance of Individual Investors,” The Journal of Finance, April 2000.
(3)William Bernstein, The Four Pillars of Investing: Lessons for Building a Winning Portfolio, McGraw-Hill, Kindle version, 2010, p. 216.(『投資「4つの黄金則」』ウィリアム・バーンスタイン著、渡会圭子訳、ソフトバンクパブリッシング、2003年)
※本稿は、『年1時間で億になる投資の正解』(新潮社)の一部を再編集したものです。
『年1時間で億になる投資の正解』(著:ニコラ・ベルベ 翻訳:土方奈美/新潮社)
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