政党助成金の捉え方

兎にも角にも実態を正直に説明することです。我々がどういう個人、企業団体からどれくらいの政治資金をいただいていて、それを何にどう使っているのか。

そのことがなぜ民主主義のコスト、すなわち政治活動の経費(秘書人件費、事務所維持費、政策立案経費、選挙経費)として許容されるのか。とことん見せ、批判を受け、改善し、そうなのか、と理解してもらうことです。

石破茂
(写真提供:講談社)

その糸口として、国民の血税から支給される政党助成金の話から始めるのはいかがでしょうか。

1996年の政治改革では、選挙制度の変更に加え、政治家が無理してカネ集めをしなくて済むように、国民一人コーヒー1杯分程度(250円)、1億2000万人をかけておよそ300億円強の税金が各党に交付されることになりました(共産党は受給辞退)。国会議員一人当たり4000万円くらいになりますか。

それだけ税で出しているのになぜそれ以上のカネがいるの? ということをよく聞かれます。国民の本音でしょう。

その質問から逃げてはいけないのです。中には、「そんなにかからない」という人もいますが、それは選挙区に対してどのような活動をするかによって変わってくるのです。

多くの人は、議員個人で使えるカネが4000万円だと思い込みますが、実態は、小企業の経費全体のようなものです。

個人年収4000万円と聞けば「贅沢だ」と思われるでしょうが、社員10人の会社の経費が4000万円と聞けばどうでしょう。「それでやっていけるの?」と思われる方のほうが多いのではないでしょうか?

そこから話が始まるのです。今回の事件でむしろ、私たちはいい機会をいただいたと捉え、これを機に政治とカネの実態を改めて、オープンに議論すべきだと思います。