石破茂
(写真提供:講談社)
2024年10月27日、第50回衆議院議員総選挙の投開票が行われました。今後の政治情勢に注目が集まるなか、10月1日に第102代内閣総理大臣に指名された石破茂首相は、現在の世論について「政治改革に寄せる社会の期待感は、明らかに落ちている印象」と語っていて――。そこで今回は、石破首相が自民党総裁選に先駆けて綴った著書『保守政治家 わが政策、わが天命』より一部引用、再編集してお届けします。

収支を明確にできないカネの存在

政治活動を行うための必要経費については、すべて政治資金収支報告書に記載すればいいと思われるかもしれませんが、政治活動についてはもう一つ、公職選挙法と言うルールがあります。

このどちらも満たした活動でなければ合法な政治活動と認められないのですが、時としては一般常識を逸脱することもあり、それが「政治とカネ」の問題がなくならない理由の一つになっています。

例えば、地元で自民党の会合を開こうとしたところ、会場の都合で昼食の時間に重なってしまった。せっかく忙しいところ来てもらうので、簡単なお弁当でもご用意したい。というのが一般常識の範囲ではないでしょうか。

ところが、公職選挙法では、選挙区では基本的に何をもらっても、何をあげてもダメ。何をおごられても、何をおごってもダメ。ですからちゃんとしようと思えば、お弁当を出して会費を取るか、何も出さないか、どちらかなのです。

どうですか? そんな会合のお誘いが来たら、あなたは「なんて非常識なんだろう」と思いませんか?

これは一例にすぎませんが、こういった「ズレ」が積み重なって、報告できない使途、収支を明確にできないカネの存在を許していくのだと私は思います。