基礎的な状況に着目する

荻上 いじめの加害・被害は、学校生活の中でどんどん入れ替わりますが、いじめにおいてはハイリスクな層がいます。たとえば、吃音などの障がいを持っている児童や、性的マイノリティの児童などは、他の児童と比べてリスクが高いです。だから、誰もがリスクがあるけれども、そのリスクは一律ではなく、ハイリスクな人が一定数いるということです。

いじめ経験については、男女差も存在します。身体的な暴力は男性が多いです。女性は、うわさ話や性的なからかいの被害が多くなります。

『女の子に生まれたこと、後悔してほしくないから』(著:犬山紙子/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

ただ、この差に大きく着目しすぎることは全体をゆがめてしまう恐れがあります。というのは、ある程度の差はあったとしても、いじめのパターンは似通っているためです。

ですので、基礎的ないじめ状況について着目し、いじめが起きやすい環境を改善していくことが大前提です。