スーパービジョン
荻上 また、いじめが起きやすい環境についてですが、前提として、いじめの96%は大人のいないところで発生します。したがって、子どもから大人に報告してもらう仕組みが必要です。
大人がいじめを見つけるために、いじめ防止アクションとして、通学路や下校時に保護者が道に立って見守るといった活動が行われています。これは、大人による発見を増やそうとするアクションでもあります。これらの行為はまったくの無駄というわけではなく、一定の効果があります。
こうした行為を「スーパービジョン」と呼びます。簡単に言えば「しっかり見る」「しっかり見守る」という意味です。日本の場合、休み時間の教室でのスーパービジョンも必要で、大人の目が常にある状態をどう作り出すかが課題です。
また、その大人の目を監視ではなく見守りと感じてもらうためにはどうすればいいか、その信頼感を築くことが前提となります。
犬山 いじめが起きる環境を改善というと、そんなことでいじめがなくなるのか、と思ってしまうけれど、チキさんの著書『いじめを生む教室』にもある通り「いじめが増える環境にするにはどうすればいいか?」という発想だと、「子どもにストレスを与える先生を増やす」「自由な時間を与えない」などたくさん出てくるわけです。だから逆に、いじめが起こりにくい環境作りだってできるんですよね。
※本稿は、『女の子に生まれたこと、後悔してほしくないから』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
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