「若い頃は根拠のない自信みたいなのがあって、でもその裏にはコンプレックスも隠れていた。そんなアンバランスな感じを人に見せたくなくて、バリアを張っていたんだと思う。」(丸山さん)

これからをどう創造的に生きるか

丸山 長年デザイナーの仕事を続けていて、今さらだけど理想とする自分には一生たどり着けないって実感するんだよね。コレという具体的な理想形があるわけではないけれど、一つ目標をクリアしたら、その先に別の目標が見えてきて、それに向かっていく。終わりがないんだ。

江原 デザイナーになりたいという夢を叶えた時は、どう思ったの?

丸山 ラッキー! というのが正直なところ。逆に、続けるほうが大変だった。時代に応援されて世の中に出ても、どんどん時代は移ろうからね。その時々で全力投球し、経験を積み重ねてきたという感覚。ただ、どんな時も自分を信じていたかな。そうじゃなかったら、ここまでこられなかった気がする。

江原 なるほどね。僕もいろいろあったけれど、年を重ねるのもいいなと、最近思うよ。昔は尖っていたけれど、丸くなって気持ちにゆとりができたというか――。

丸山 それ、わかる。同感。若い頃は根拠のない自信みたいなのがあって、でもその裏にはコンプレックスも隠れていた。そんなアンバランスな感じを人に見せたくなくて、バリアを張っていたんだと思う。そう考えると経験ってすごいよね。

続けることで自信が生まれて、自分のままでいいと開き直ることができるようになった。気持ちのうえではずいぶん楽になったよね。