江原 敬太はファッションデザイナーだけど、僕はライフデザインをしてきたと思っていて、クリエイティブに生きてきたという意味では共通しているね。だから気が合うのかなって、今日、改めて思った。

丸山 そうだね。でもお互いに、還暦になったこれからをどう創造的に生きるかが問題じゃない?

江原 ホントだよね。

丸山 僕は、いい時代にファッションの世界に入り、パイオニアたちに引き上げてもらってきたという思いがずっとあったんだよね。でも、その恩恵を僕は誰にも返してない。だから今後は、下の世代に自分の経験や熱量みたいなものを伝えていけたらいいなと思っているんだ。

江原 敬太は今年、デビューから30周年? よくやってきたよね。

丸山 振り返れば大変なこともたくさんあったけど、あっという間だった。デザイナーに定年はないし、その意味で30周年だろうが、還暦だろうが、何も変わらないと思う。それはプーヤンも一緒じゃない?

江原 確かに60歳といっても通過地点でしかない。僕は今年、スピリチュアリストとして活動を始めて35年にあたるんだけど、これからも淡々と人生哲学を説いていこうと決めている。忙しい季節は卒業して、静の中で深めるみたいな感覚かな。

丸山 僕は30周年記念に、新しいことにチャレンジしているよ。9月には「ケイタマルヤマ遊覧会」と銘打ち、30年間のモノ作りのすべてを公開。おかげさまで大盛況でした。ほかにも、さまざまなブランドとのコラボレーション企画をしたり、とにかくめまぐるしい。プーヤンは?

江原 僕はもう一つの顔であるオペラ歌手として、12月にサントリーホールでコンサートをするのも楽しみ。そうだ! 話していて思い出したけど、敬太、高校時代に僕と交わした約束を忘れているでしょう? 「プーヤンでも着られる大きいサイズの服を作ってあげるから」って言っていたんだよ。あの時、すごく感動したのに、果たされてないんだけど。

丸山 あれ? そうだっけ?じゃオペラの衣装でも作りますか。還暦記念で真っ赤なガウンとか。

2024年12月21日にサントリーホールで行われた「江原啓之シンフォニック・コンサート~いのちの詩~」で、丸山さんデザインの衣装で熱唱した江原さん。丸山さんと笑顔で(写真提供:江原さん)

江原 ホント? 敬太先生、よろしくお願いいたします。これを機に、縁がますます濃くなりそうだね。

丸山 腐れ縁じゃないの? なんでもいいか、楽しければ。