教育とは何か
第4回では長嶺のクラス内での孤立が問題となる。大半の生徒の間には大きな年齢差がある長嶺はつい「最近の若いもんは」と説教をしてしまうのだ。
その上、長嶺は度を超して勉強熱心だった。「先生、もう1回言ってください」。頻繁に授業を止めた。若い生徒たちはうんざりしていた。
対立に終止符を打てたのは長嶺が授業内で講演を行ったから。藤竹の勧めだった。長嶺は貧しくて高校に行けず、その悔しさをバネにして懸命に働き、会社を興したことを話す。
本当に定時制に入りたかったのはやはり貧困から中卒で働き、今は闘病中の妻・江美子(朝加真由美)であることも明かした。長嶺が異様なまでに勉強熱心なのは病床の江美子に授業内容を完璧に伝えるためだった。
当初は長嶺の話を渋々聞いていた若い生徒たちの顔つきは徐々に神妙になる。世代間格差を埋めるためにはお互いに相手のことを知るしかない。
藤竹はこうなることも見通していた。藤竹は長嶺に黙って江美子の見舞いに行っていたのだ。長嶺の孤立を解消するためだったのは言うまでもない。
教育とは何か。誰でも1度は考えることではないか。生徒の偏差値を上げ、世間に名の知られた高校や大学に入れることも大切かも知れない。だが、それだけが教育なのだろうか。