問題が文章で書かれていると解けない

第1回では柳田がクローズアップされた。茶髪でピアスをしており、言葉使いも荒かった。教師にも敬語を使わない。

その上、大麻の密売をするような不良グループとの付き合いも再開している。1年生のときには熱心に登校していたものの、2年生になってからは遅刻が目立っている。

だが、勉強が出来ないわけではない。テストの計算問題は満点。ただし、問題が文章で書かれていると、1問も解けない。昼間はゴミ収集の仕事をしていたが、そのマニュアルもノートにひらがなで書いていた。

心ない先輩がノートを勝手に見て、「定時制どころか小学生からやり直せ」と笑うと、柳田は激怒する。その先輩を殴った。柳田にとって読み書きが出来ないのは切実な問題だったのだ。

読み書きが出来ないせいで親に子供のころから酷く叱られ、クラスメートには見下された。1年生のときは学校に熱心に通ったのも読み書きをおぼえたかったから。2年生になると学校から足が遠のいたのも一向に読み書きが出来るようにならず、腐ってしまったためである。

柳田は藤竹に退学届を出す。しかし、藤竹は受け取らない。代わりに柳田がテストで解けなかった文章問題を口頭で出題した。「解けますか」。柳田は即座に答える。正解だった。

小林虎之介
読み書きが大の苦手で、それが基でグレた21歳の青年・柳田岳人(小林虎之介)