「桃李さんが結婚した時は、感慨深かったですし、本当に嬉しかった─って、僕ももう30歳を過ぎたし、のんきに構えている場合じゃないですね。」

今まで舞台については、台本をいただいてから出演を決めてきたのですが、今回は何もわからない状態で即決。稽古から本番まで、三浦さんと濃密に進めていくのが楽しみであり、恐怖でもあります。(笑)

三浦作品は、スキャンダラスな題材とリアルな感情を追求した演出で知られていて、僕自身は今までそういうジャンルに飛び込んだことがなかったものの、ずっと憧れがありました。

今回、僕が演じるのは売れない役者・菅原裕一。同棲している彼女に養ってもらっている、いわゆる《ヒモ》です。表現したいのは、菅原という人間の無防備さや脱力感。これまでとは違う一面をお見せしたいと思います。

共演者の皆さんは魅力的な方ばかりです。菅原の同級生で売れないミュージシャンに扮するのは、峯田和伸さん。峯田さんがボーカルを務めるロックバンド、銀杏BOYZがすごく好きなので、お目にかかれるだけでも本当に嬉しいのに、一緒にお芝居ができるなんて!

それから、同い年の柄本時生くんとは、10代からの知り合い。舞台で共演できることになって「やったね! やっとだね」と喜び合いました。時生がいてくれるだけで、安心できます。(笑)

昨年はさまざまな舞台や映像作品が休演や公開延期になるのを見聞きして、心を痛めることも多かったです。それと同時に、舞台に立てることに感謝しなくてはいけない、すべての公演を大切にしなくてはと、あらためて身に沁みて感じるようになりました。

観客の皆さんに安心して物語に浸っていただけるように、きちんと届けたい――。単純に舞台が好きというだけでなく、そういう思いが自分のなかに芽生えたことを実感しています。