さらなる奇跡が
言葉を変えれば、母は危篤になるのを、私たちが面会できる日まで待っていてくれたのです。これが前日だったら、面会できないまま永遠にお別れだったかも……と思うと、母の執念とも思える頑張りに圧倒されました。
そして、慌てて駆けつけた病院では、さらなる奇跡が……。
父が2か月半ぶりに、
「おっ母、わしじゃ。わかるか?」と
声をかけると、それまで弱々しかった母の心電図の波形が、再び大きく力強く、波打ち始めたのです。
「ありゃあ、お父さんが来たら、お母さん急に元気になっちゃったが!」看護師さんも思わず歓声を上げたほどの、奇跡の復活でした。
※本稿は、『あの世でも仲良う暮らそうや 104歳になる父がくれた人生のヒント』(文藝春秋)の一部を再編集したものです。
『あの世でも仲良う暮らそうや 104歳になる父がくれた人生のヒント』(信友直子/文藝春秋)
認知症の母をお世話した父は、愛に溢れた“ええ男”だった! 日本中に感動を巻き起こしたドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』の監督が紡ぐ、笑いと涙に満ちた家族の物語。同郷・広島の104歳、石井哲代さんとの同級生対談も収録!