宝物のような日々
そうやって、家族三人で信友家の60年の歴史を一緒に追体験した13日間は、私にとって何物にも代えがたい、宝物のような日々となりました。
それでは父にとってはどんな13日間だったのでしょう? 父はその間、母に未来への希望しか語りませんでした。母にずっと、あれをしよう、これをしようと夢のようなことばかり言い続けたのです。たとえば、
「わしゃ11月に100になるけん、呉市が祝いをくれると思うんよ。もろうたらすぐ、あんたに見せにくるけんの。楽しみに待っとれよ」
そして、
「祝い金で何するかの? 何かうまいもんでも食おうや。わしゃハンバーグが食いたいんじゃ。あんたも好きじゃろ、あつあつハンバーグ」
二人とも大好きなファミレスのハンバーグデートに誘うのでした。