私はパソコンなどのデジタル機器が苦手で、出版社に原稿を送るときは、いまも原稿用紙に手書きしてファクスしています。だから、年表作りももちろん手書き。鳩居堂の200字詰め原稿用紙を横書きにして、愛用の2B鉛筆でさらさらと。

まず、メモしたことを、それぞれの年代に振り分けていくんです。原稿用紙を1枚ずつ貼り合わせていく方式なら、いくらでも長くできるから。(笑)

年表のスタートを1968年からにしたのは、22歳で大学を卒業し、社会人としてまがりなりにも仕事をはじめた年だったから。

埼玉県浦和市(現・さいたま市)で生まれ、新聞記者の父と専業主婦の母、兄1人、妹1人というごく平凡な家庭に育ったので、書き留めておきたいような記憶はあんまりなくて(笑)。いつか少女時代のことも記録するかは思案中といったところです。

22歳で出版の世界に入ってから56年。面白いことに、あらためて文章にしてみると、当時の心境がまるで昨日のことのようによみがえってきます。

たとえば、最初の年の欄に「就職に失敗。仕方なく、読売新聞社の図書編集部でアルバイト」と書いた一文。「仕方なく」という言葉が浮かんできたのも、就職試験の最終面接で私が落ちた出版社に高校時代の友人が受かり、ちょっぴり悔しかったことを思い出したから(笑)。

と同時に、周りの友人たちは真剣だったのに、私は全然、真面目に就職活動に取り組んでいなかったなぁ、とか。

実家住まいで親がかりの生活に甘えていた当時の私は、子どもっぽくて世間知らずだったのだということにも、ようやっと気づかされました。