冨士 でも、二日酔いでもあなたのお弁当は毎朝必ず作っていたわよ。好きなほうを選べるように、お弁当を2種類用意していたときもあったし。

リズ そういえば、中学で私がいじめにあったときの対応も意外だった。私は自分の力で解決しようとして、先生に話したら「いじめられるお前にも原因があるんじゃないか」って理不尽なことを言われて。

冨士 それは先生がおかしいわよ。いじめはいけない。

リズ ママは絶対に弱い者いじめをしないよね。

冨士 あなたにその話を聞いたときはショックで、原稿用紙12枚の手紙を書いて直談判しに行った。そうしたら先生がビックリして、いじめっ子たち全員を叱ってくれたのよ。

リズ あのときは、「ママに言わなきゃよかったかも」と少し思った(笑)。高校で私が不登校になったときも、「これを持って行けば大丈夫」と水筒を持たされて。我慢して学校に行って休み時間に飲んでみたら、なんとウーロンハイ(笑)。「友達を作る魔法の飲み物よ」って。

冨士 リラックスできるし、クラスの子と回し飲みすれば、一緒に楽しくなって仲良くなれると思ったから。あれ、見つかったら先生に怒られていたわね。

リズ 当たり前でしょう。私が怒ったら、今度は毎晩のように新宿2丁目のゲイバーに連れて行ったよね。当時ママが好きだった尾崎豊の曲を、オネエたちとカラオケで熱唱したりして。

冨士 「もっと、大らかになりなさいよ」と伝えたかったの。

リズ たしかに、あのときにオネエたちに出会えたのはすごくよかったと思う。世間の常識なんて知ったこっちゃないっていう気楽な空間で、もっと自由に生きていいんだとわかったから。それから高校に楽しく通えるようになったのも、2丁目に連れて行ってもらえたおかげ。感謝しています。

冨士 母娘で夜遊びしたかいがあったわね。

後編につづく

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