冨士眞奈美さん(左)と娘の岩崎リズさん(右)。2016年、『婦人公論』の対談にて(撮影:川上尚見)
現在86歳の冨士眞奈美さんの体調や生活を案じる、娘の岩崎リズさん。冨士さんはそんな彼女に感謝しながらも、普段の振る舞いには少し不満があるようで……(構成=内山靖子)

趣味と性格は完全に父譲り

冨士 こうしてゆっくり顔を合わせるのは久しぶり。うちから徒歩5分のマンションに住んでいるのに、全然会わないわね。

リズ ママが思っているほど、私たちは親しくない(笑)。直接会うのは、ママの耳鼻科と腰痛治療の整形外科の通院に私がつき添うときくらいだし。

冨士 その代わり「生存確認」として、朝と晩の2回、必ずあなたに電話をすることになっているのよね。私が黙って死んだりしたら、「家が売り物にならなくなる」と言うから。(笑)

リズ 本当は遠隔操作ができる見守りカメラを設置したいんだけど、ママの家にはWi-Fiの設備がないでしょう。業者に頼もうと思っても、「家の中に他人を入れるのはイヤだ」って言うし。

冨士 でも、私が電話をするとまんざらでもない様子じゃない。海外のドキュメンタリー番組の話を、1時間も2時間もしたりして。私はちんぷんかんぷん。そのくせ、私が「ドジャースの大谷」と口にしただけで、「つまらない話はやめて」って言われちゃう。