算数は「思考」と「習得」の両方大事
「習得」した知見を、「思考」して活用する
「学びて思わざれば則(すなわ)ち罔(くら)し、思うて学ばざれば則(すなわ)ち殆(あやう)し」
これは論語の一説で、「基本的な習得はするけれど、自分なりに考えることをしなければ、つまり聡明ではない」と伝えています。そして、自分で考えることはするけれど、基本的なことを学ぶ姿勢を持たなければバランスが悪いともいっています。
つまり、この文章では、学びとは「思考」と「習得」がセットであると説明しているのです。
「思考」とは、考える力のこと。自分の持っている知識を掛け合わせたり、過去の経験から仮説を立てたりする能力です。
「習得」とは、コツコツと勉強や練習を積み重ね、身につけていくことです。
この2つのバランスをとることは、算数を学ぶときにも、とても重要になります。
しかし、現在の日本の教育はどうしても「習得」に重きを置きがちになっています。
学生時代を思い返すと、試験前日に徹夜で公式を覚えた人もいらっしゃるかもしれません。多くの大人たちはインプット中心の学びの中で生きてきました。そうした経験から、どうしても「習得」中心に考えてしまうところがあるのです。
丸暗記して詰め込むといった「習得」の比重が大きくなる問題点は、「思考」に結びつきにくくなることです。