「うちの子、とくに算数が苦手で……」「私自身、算数が苦手だから、子どもも嫌いになってしまうのでは……」など、親子ともに算数への苦手意識を持っている家庭もあるのではないでしょうか。教育ライターの佐藤智さんは、このような悩みの声を受けて、難関中学受験で高い合格実績を誇る塾「SAPIX小学部」で算数を担当する先生を取材しました。今回は、佐藤さんの著書『10万人以上を指導した中学受験塾 SAPIXだから知っている算数のできる子が家でやっていること』から、SAPIX流・算数を嫌いにさせないメソッドを一部ご紹介します。
算数の力を伸ばすのに「数的センス」は必要?
数的センスのある子は、ほとんどいない
「数的センスがないから算数も数学も苦手です」
たまに、そんな発言を耳にすることがあります。
みなさんは「数的センス」という言葉に、どんなことをイメージするでしょうか?
難しい問題でも天啓を受けたようにひらめいて解いてしまうタイプの子をイメージするかもしれません。しかし、SAPIXに通う子どもたちの中でも、そうした子はほとんどいません。
では、算数が解ける子たちは、どんな力を持っているのでしょう。
突然ですが、「3は10の何倍ですか」と尋ねられたら、何と答えますか?
みなさんならば、すぐに「0.3」と答えるはずです。
そのとき、3割る10を計算して「0.3」と答えましたか?
たぶん、ほとんどの人は、計算せずにパパッと「0.3」だと思い至ったでしょう。
なぜ、計算もせずに答えを導きだせたのか。
それは、さまざまな経験が問題を解く「感覚(センス)」につながっているからです。算数では、この経験に基づく感覚が重要になってきます。