大河ドラマ『光る君へ』は、1000年以上も読み継がれている『源氏物語』の作者・紫式部の生涯を軸に、生きるとは何か、人生とは何か、人を愛するとは何かを問いかける物語である。主人公の紫式部/まひろを演じた吉高由里子さんは、大石静さんの脚本により、『源氏物語』の世界を旅しているような感覚になったという。平安時代の雅なセット、美しい衣装、格調高い小物などにより、贅沢な体験ができたことにも、吉高さんは感謝している。撮影開始から1年半、ソウルメイトである藤原道長(柄本佑さん)との微妙な感情のやりとり、月を見るシーンが多かった理由、紫式部が『源氏物語』で書いた「もののあはれ」を表現することなど、このドラマに挑んで得たものを、最終回を前にして、吉高さんならではの視点で語ってもらった。
(構成◎しろぼしマーサ)

大河ドラマへの挑戦

━━大河ドラマに挑戦して、どんなことを感じましたか。

大河ドラマをやるのだと思った時は、鳥肌が立つような緊張感がありました。

クランクインした直後の第4回『五節の舞姫』の撮影の時は、スタッフの人数が多く、皆さん結束力が強くて、現場に慣れていて動きのスピードが速い。セットの規模も大きくて圧倒されました。

そして大石静先生の脚本がすごくて、私は毎回、ワクワクしながら台本を読んでました。『源氏物語』の世界を自分が実体験しているような、まるで物語を旅しているような感覚になってましたね。

大石先生は、史実とゼロからの想像の世界を巧みに織り交ぜてドラマを創り上げる。ドラマのテーマを貫くために、時には史実を変えてしまう思い切りの良さもある。

大石先生が脚本を生み出す苦しみは、階段を一段一段と登るようで、大変だろうなと考えていました。大石先生が考えるまひろのイメージに、私がどれだけ近づけたのかな、と思っています。