帰宅後の余韻は

「せっかくだし昼飯にみんなで焼肉でも……」と駐車場でリーダーが言い出したので、思わず「肉じゃなくてあんたをアスレチックに縄でくくりつけてこの灼熱で焼いてしまおうか?」と言いそうになったが、30人で入れるところが近場に見つからなかったため、無事そこで解散となった。

ああああああああああああああああああ、やっっと終わった。生きて帰れる!!

みんな大好き! 楽しかったよ、ありがとう。帰り道、気をつけてね。ご飯、おいしかったね。星空、綺麗だったね。本当にどうもありがとう。じゃあ、またね!

最後の最後にここで全部取り返そうと、陽気を振りまきまくっておいた。帰宅後はもちろん泥となり、回復するまでに一週間かかった。

後日、キャンプメンバーのLINEグループでは、私のいなかった一日目の夜の楽しそうなみんなの様子も含めた、合計566枚の写真が共有された。

「私も撮った写真、入れてみようかな」とスマートフォンのフォルダを見てみると、二日間で撮った写真はたったの3枚だけだった。パエリヤ、月、青空。

せっかくなので、566枚にそっと追加しておいた。

 

※本稿は、『褒めてくれてもいいんですよ?』(著:斉藤ナミ/hayaoki books)の一部を再編集したものです。

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