代理人による管理が黙認されている典型的なSNSはツイッターで、本人認証がついたアカウントにもかかわらず、本人の死後に家族やスタッフによって投稿が続けられるといったケースがしばしば見られます。代表取締役が交代しても、法人が同じ看板で活動を続けるのと同じようなものといえるでしょう。ただし、IDとパスワードは運営元から再交付されませんので、故人の生前からアカウント情報を共有している必要があります。

余談ですが、ひとつのアカウントをチームで運用することを認めているサービスならば、代表利用者の没後も、代理の誰かが更新を続けることが半ば公に認められています。

 

フェイスブックには、自分自身で死後に備えられる

一方、IDやパスワードが分からず故人のページやアカウントにログインする手立てがない場合、家族や友人がアクションを起こせるSNSもあります。

フェイスブックとインスタグラムは、故人のページが荒らされないように保護する「追悼アカウント」という機能を2009年から提供しています。

それぞれのサービスのヘルプコーナーから「追悼アカウントのリクエスト」を検索してみてください。死亡証明書や訃報記事といった、該当者が亡くなったことを裏付ける資料など、必要な情報を提供したあとは運営側の審査を経て追悼アカウントに切り替わる仕組みです。

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審査基準は非公開ですが、複数人からの申請があったり、信用に足る情報源の提供を受けたりすれば、迅速に事が進むとみられます。後日、生きていることがわかった場合も、本人がIDとパスワードを入力し、生存を報告することで元の状態に復帰できます。

また、フェイスブックには、自分自身で死後に備えられるメニューもあります。自分の代わりにページを管理する「追悼アカウント管理人」をあらかじめ指定できたり、周囲から追悼アカウント申請がなされたときにアカウントを抹消する意思表示ができたりします。万が一のことがあった時に、不本意な状態でデータが残されないためにも、ぜひ設定しておきたい機能です。