「病気になったらどうしよう」という病

病気にならないよう予防に努めるという考えかたもあっていいとは思います。詐欺だって、ひっかかってからでは大変で、引っかからないように注意することが身を守るための唯一の方法なのですから。

とはいえ、この親切そうな人も詐欺師かもしれない、長いあいだ親しくしてきたあの人も詐欺師に豹変するかもしれないなどと猜疑心の塊になってしまえば、たちまち孤独になってしまいます。

「病気になったらどうしよう」という不安も、いきすぎると生きづらくなるのではないでしょうか。

あれもダメ、これもダメ、運動しなければいけない、規則正しい生活をしなければいけないと、自分で自分をギュウギュウにしばるのは、わたしにいわせれば「病気になったらどうしよう」という病。

少なくとも気分次第で自由に暮らすほうが健全だといえるでしょう。

80代になってから「hinadan」というシニア向けのゲームアプリを発表したことで世界的に知られる若宮正子さんのエッセイに「食べたいときに、食べたいものを、食べたいだけ食べるのが若宮流の健康法です」という一文がありました。

「世のなかの情報に惑わされず、自分の身体の声にしたがえば、おのずと自分にとって最適な食生活を送ることができるのです」と。

若宮さんは現在87歳ですが、頭は冴え、若々しく、身体もピンシャンしておられます。

根拠のないマスメディアの健康情報より、はるかに強い説得力を感じるのはわたしだけではないはずです。

※本稿は、『病気の壁』(興陽館)の一部を再編集したものです。

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病気の壁』(著:和田秀樹/興陽館)

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