白樺の鳥居と社殿

個人を顕彰する神社なので、日光東照宮のように派手なのかと思いきや、意外にもそれは素朴でこぢんまりとしていた。

鳥居も社殿の柱も白樺の木。加工されず使われているので、節榑(ふしくれ)立ってゴツゴツとしている。白い樹皮もそのままだった。そのため、白樺神社とも呼んでいるという。神社建築としては珍しいが、「この地域では昔ながらの宮居(みやい)だ」と言われたら納得してしまうかもしれない。

だが、その中央には見慣れた安倍の肖像が鎮座していて、現実に引き戻された。供えられたお神酒(みき)や神饌も真新しい。地元の工務店が手掛けたもので、土台はコンクリートなので見た目より堅牢そうだった。社殿の様式はシンプルな神明造(しんめいづくり)に則っており、千木(ちぎ)や鰹木(かつおぎ)で飾り付けられていた。

ただサイズはかなり小さく、神社というより祠に近い。高さは3メートルといったところか。また壁がないため、風がそのまま社殿を吹き抜けていた。