二礼一七拍手一拝

社殿より鳥居を振り返ると、南アルプスの雄大な自然が一望できた。すぐ下は天竜川。小高い丘のうえにあるため、景色はかなりよかった。

鳥居より南アルプスの大自然を望む(写真:『ルポ 国威発揚-「再プロパガンダ化」する世界を歩く』より)

「まずは参拝を」ということで、素心氏の合図で手を叩いた。

「安倍晋三大人命」に加えてやはり一七神も祀っているため、もちろん「二礼一七拍手一拝」。これは叩き続けるのではなく、4回ごとに一呼吸をおく。すなわち、四+四+四+四+一で一七拍手――。

「拍手の意味を知っていますか。安倍さんも知らなかったのですよ。だから教えました。2回手を叩くときは、イザナギさん、イザナミさん。お父さん、お母さん、ありがとうという意味もあります。これを教えないから、親殺しとかが起こる。『安倍さん、あなたの責任ですよ』と言いました。それでつぎにお会いしたときは『佐藤くん、最初の神様は誰だったかな』と聞かれて。第一次政権のときの話です。安倍さんは、神話をもう一回呼び戻そうと一生懸命になっていたひとですよ」

※本稿は、『ルポ 国威発揚-「再プロパガンダ化」する世界を歩く』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。


ルポ 国威発揚-「再プロパガンダ化」する世界を歩く』(著:辻田真佐憲/中央公論新社)

何がわれわれを煽情するのか?

北海道から沖縄までの日本各地、さらにアメリカ、インド、ドイツ、フィリピンなど各国に足を運び、徹底取材。

歴史や文化が武器となり、記念碑や博物館が戦場となる――SNS時代の「新しい愛国」の正体に気鋭が迫る!