写真提供:滝川さん
いまや、子どもの数より多いといわれるペットですが、人間側の身勝手な事情で理不尽に命を奪われる動物たちも相変わらず後を絶ちません。動物の殺処分ゼロを目指す運動や保護活動に取り組んでいる滝川クリステルさんに、東日本大震災で被災した犬「アリス」との暮らしを通じて実感した思いを聞きました。 

アリスのおかげで生まれた新たな出会い

ラブラドール・レトリバーのアリスがうちにやってきたのは2011年。彼女は当時3歳でしたので、目下、10歳です。

アリスは東日本大震災の後、原発30キロ圏内で放浪していたところを、NPO団体の方々によって保護された犬です。私は以前から動物の殺処分問題や保護活動に取り組んでおり、震災で取り残された動物たちについても心を痛めていました。大型犬は引き取り手が少ないということなので、保護したら教えてくださいと、知り合いのNPOの方にお願いしておいたのです。

小さい頃から犬や鳥など、さまざまな生き物がいる環境で育ちましたが、一人で犬を飼うのは初めて。当初はアリスの行動が予測できず、けっこう振り回されました。散歩に連れていくと、ほかの犬や人間にワーッと飛びかかってしまうので、コントロールが大変。慣れない環境で混乱していたのかもしれません。

家族に助けられながら世話をするうちに、どんどん情が深まり、離れたくないという気持ちが強くなりました。3ヵ月後、飼い主さんが見つかりましたが、やはり飼える状況ではなく、正式にうちの子になりました。

アリスがうちに来てからは、生活も彼女中心に考えるように。家で一緒にいる時間を大事にしたいので、夜の外食が減ったのです。そのかわり、家に人を呼ぶようになりました。気がつくとしょっちゅう友人や知人がうちに集まって、みんなで食事をするように。

アリスはすっかり、みんなのアイドル。いろいろな人をつなげてくれます。おかげで、たくさんの新たな出会いが生まれました。今、私をさまざまな形で動かしてくれているのは、彼女ですね。

アリスはよく、私の目をじーっと見るんですよ。もう、照れてしまうくらい(笑)。犬と見つめ合うことで、双方にオキシトシンというホルモンが分泌されることが、最近わかったそうですね。オキシトシンは「幸せホルモン」とか「愛情ホルモン」「思いやりホルモン」とも呼ばれており、母親が赤ちゃんを抱っこしたり、子どもの目を見つめて会話したりすると分泌されます。

オキシトシンが出ると、さらに愛情が深まり、信頼関係が生まれる。人間どうし以外でオキシトシンの分泌が証明された動物は、犬が初めてだそうです。私とアリスの間も信頼関係がどんどん深まり、いまや人生のパートナー。生涯の友、といった感じです。