引き出しを断捨離すると、後ろめたさから解放される

なぜ私たちはワンクッション置いてしまうのか。

その深層心理を見てみましょう。

引き出しの一番の弊害は、中を見えなくしていることです。モノを突っ込んで、閉めて隠してしまう、それは心理的にも隠そうとしていること。なぜ隠すのかといえば、私たちは基本的にモノを捨てることが後ろめたいから。その後ろめたさこそがワンクッションなのです。

私たちはモノを捨てるとき、以下の3つの心理が働きます。

1つめは、決断するのが「面倒くさい」という心理。表層の部分では事を起こすのが面倒くさいと感じています。なぜならモノが多すぎるから。

次に働く心理は「もったいない」です。「せっかく買ったのに」「まだ使えるのにもったいない」と思い、とっておきます。

『引き出し1つから始める 1日1か所 断捨離』(著:やましたひでこ/大和書房)

もう1つは、捨ててしまうとモノはなくなるため、「心許ない、寂しい」という心理も働きます。

これら3つが表層の心理を占めています。

そして、その下に隠れている心理が、後ろめたさ(罪悪感)です。「使えるモノ、形あるものを捨てるなんて」という心の痛みのこと。

こうした感情ともつきあいたくないし、面倒くさいし、もったいないし、なくなって寂しいなら、もはや引き出しに突っ込むしかない。突っ込んで存在を忘れようとします。そして実際に忘れてしまいます。

さらに恐ろしいことに「収納=片づける」というポジティブな概念があり、自分の心をカムフラージュしているのです。