会社の備品が新しく導入された折も、担当責任者であるAさんは一切説明を聞こうとせず、業者に対して「少しは値引きしなさいよ」と言い放つ始末。コストダウンを自分の手柄にしたいと考えたのか、値引きを承諾しない業者と盛んに言い合う。

しかし業者は首を縦にはふらず、とうとう諦めた彼女は、不機嫌な表情で私のほうを見て、「操作するのはこの人だから詳しく教えておいてちょうだい。50歳をすぎてお歳だから覚えるのに時間がかかるわよ」と業者に言い捨て、どこかへ行ってしまった。

思えば、以前いた生え抜きの社員さんは、何て優しかったのだろう。ボーナス日には、支給されない非正規雇用の私たちに、近くのホテルで慰労を兼ねて美味しいランチをご馳走してくれた。

ほかにも、年末に取引先からカレンダーをいただくと、まず私たちから選ぶよう段取りをしてくれ、残りを自分たち社員が持ち帰った。ひとつひとつは些細なことでも、その細やかな気遣いがどれだけ嬉しかったか。

一方Aさんはというと、当然のようにいただき物は自らがまっ先に選び、残りを私たちへ与える。あらゆる言動から彼女の卑しさが感じられ、職場の空気は悪くなるばかりだった。