漫才日本一を決める『M-1グランプリ』。24年度では「9人審査員制」が採用され、柴田英嗣さん(アンタッチャブル)、哲夫さん(笑い飯)、礼二さん(中川家)、若林正恭さん(オードリー)らが務めることが発表。歴代王者を中心に新しい顔ぶれがそろうなか、注目を集めているのが『M-1 2008』の覇者で、漫才に対する分析が鋭すぎて「石田教授」とも呼ばれる「NON STYLE」の石田明さんです。今回その石田さんの新刊『答え合わせ』から『M-1グランプリ』にまつわるお話を紹介いたします。
賞レースで「ネタ選び」を間違えるワケ
賞レースでは「ネタ選び」がとにかく重要です。
2023年のM-1では、優勝最有力候補ともいわれていたさや香の「2本目」が見ていた人をざわつかせました。
1本目では、淡々と話す石井くんに新山くんがぶつかって、どんどん加熱していくという、さや香らしいネタでトップに立ちました。
ところが優勝をかけた2本目は、ガラリとスタイルが異なる「見せ算」というネタをやった。結果、ファイナルステージでは1票も入らず3位に終わりました。
これが物議を醸し、あちこちから「もう1本、さや香らしいネタをやっていれば優勝できたかもしれないのに……」という声も出ていました。