お金を無心され続け

神奈川県在住の柚木文香さん(37歳・仮名=以下同)は、訪問看護師として働きながら3人の子育ての真っ最中だ。

仕事、家事、育児と多忙を極めていたところに、関西で一人暮らしをする78歳の母親から、昼夜を問わず電話がかかってきていた。愚痴や悪口など、緊急性のない暗い話ばかり聞かされ辟易した柚木さんは、2年前から家族代行サービスを利用し始めた。

契約時に44万円を支払い、通院のつきそいなどでは1回1万1000円(4時間以内)がかかる。生活全般のサポート、緊急時の対応など、母親の身の回りのことをすべて代行してくれる。

「母は依存心が強く、昔から何でも人に頼ろうとするタイプです。特に最近はお金の無心がひどくて。父が亡くなってから母もパートで働いていたけれど、退職後は年金だけでは暮らせないというので、月に2、3万円ほど金銭援助をしていたんです。

でも、送った数日後には『病院に行くから』などと理由をつけて再度要求する。もう疲れ果ててしまいました。計画的に使う気がないんです」

昔から洋服や装飾品が好きで、ほしいものは後先考えずに買ってしまう人だったという。また、家族が自分の思い通りにならないと激しく怒るが、自分は約束を破っても平気、という一面も。

「子どもの頃は自分の親しか知らないから、そんなものかと思っていました。でも結婚したら夫の両親がすごく常識的な人たちで、うちの親とはずいぶん違うと気がついたんです」