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「親の面倒は子どもがみるもの」。そんな固定観念にとらわれず、「介護」「看取り」「葬儀」までを代行業者に頼む人が増えているようです。実際の利用者たちの思いを聞きました

1よりつづく

発達障害の母に疲れて

定年まで教師として勤め上げ、現在は埼玉県に暮らす斉藤諒子さん(62歳)は、発達障害と思われる母親(94歳)に苦しめられてきた。

「診断を受けたわけではありませんが、そうではないかと思っています。ただ、『大人の発達障害』が知られるようになったのは最近なので、長い間思い至りませんでした」

専業主婦だった母親に、幼い頃から厳しく育てられ、過酷な子ども時代を過ごした。

「今でいう教育虐待ですね。勉強や複数の習い事など、常に追い立てられる生活でした。母はクリスチャンなので、教会にも通わされて。友人との外出も厳しく制限されました」

男尊女卑の考えも強い両親だった。斉藤さんは名前を呼び捨てにされたが、母は弟を「坊や」と呼んで可愛がっていたという。