「親の面倒は子どもがみるもの」。そんな固定観念にとらわれず、「介護」「看取り」「葬儀」までを代行業者に頼む人が増えているようです。実際の利用者たちの思いを聞きました
縁を切る《家族じまい》
千葉県に住む主婦、常田泉美さん(55歳)は、二度と母親に会うつもりはないと断言する。
もともと父母は仲が悪く、常田さんは物心ついた時から激しい言い争いをする両親を見て育った。ある日、小学校から帰ると、母親の荷物がない。父からは何の説明もなかったが、7歳だった常田さんは母が出て行ったとすぐ理解した。
「実はそれほどショックではありませんでした。というのも、それまで母から『あんたなんか産まなきゃよかった』と何度も言われていたので。たぶん私がいるせいで父と別れられないと思っていたのでしょう」
だがその翌年から常田さんは不登校になり、ひきこもり状態に。きっかけや理由は、今もうまく説明することができない。彼女の不登校は4年間続いたが、中学2年生の時、突然家を訪ねてきた児童相談所職員に連れて行かれ、そのまま施設に入所させられる。
「しばらく経って、児相を呼んだのは父だったとわかりました。父とはそれ以来、会わずじまいです」