ELFとミーティング

英語のミーティングに参加する際、英語力の差異を「英語力の上下」ではなく、「言語レパートリーの違い」と捉えるELF発想をもつと、心理的な負担が軽くなる。

もしミーティングが、スペイン語やアラビア語で行われるなら、その言葉がわからないと堂々と言えるだろう。しかし、英語の場合、「わからない」と言うのに抵抗を感じる人が多い。英語は世界の共通語だし、英語ぐらいわからないと勉強不足と思われそうで恥ずかしいと感じるのかもしれない。

(写真提供:Photo AC)

しかし、「英語力はその人の努力や能力と必ずしも正比例しない」。出身地によって、英語と他の言語の役割や使われる頻度も違うし、教育制度もさまざまである。

たとえば、英語で教育を受けてきたネイティブは、中学生ぐらいから英語の議論を日常的に繰り返し経験しているだろう。彼らは、英語教育を通じて長期間充分な訓練を受け、思い通りに使える言語に支えられて、英語の議論に参加する。あなたの英語ミーティングの経験値と全く違う。

ELFにおける英語力は不平等であり、英語のミーティングでは、この英語力の差が影響を及ぼす。理想としては、英語力にかかわらず全員が平等に参加できる状況が望ましいが、現実のビジネスでは違うことが多い。強い英語力を背景に交渉を有利に進めようとする人もいれば、英語力の差を利用してわざとプレッシャーをかける人もいる。

私は、このような状況に対して抗(あらが)わないといけないと考える。だから、私は英語のミーティングでは英語力について率直に話題にするほうが、問題がないふりをするよりも良い結果を導くと信じている。