高齢者の気持ちを理解すること
鈴木 前代未聞の時代をどう生き抜くかというのが今回の対談の大きなテーマですけれど、今は過渡期ですね。
樋口 ここをうまく乗り切って成熟した世の中になれば、親の介護が始まっても、自分が老いた時にも、安定した気持ちで過ごすことができるでしょう。
鈴木 若い人たちが「老い」を対岸の火事を眺めるようにしていては、自分達が老いた時に困ってしまうということを伝えたいです。
樋口 とはいえ、高齢者の気持ちを理解するのが簡単なことではないのもわかるのです。私も50代の頃には、年老いた母の気持ちがわからなかった。年を取ったら動きが鈍くなると頭ではわかっていても、もっと早く歩いて欲しいなんて内心イライラしたりして。
自分が歩行困難になって初めて、体が思うように動かないことの辛さを実感しました。お母さん、あの時は理解してあげられなくてごめんなさいという感じです。シスターは健脚でいらして羨ましいわ。
鈴木 もちろんそれなりに弱ってきてはいますけれど、おかげさまで今のところ不自由は感じておりません。当たり前のように受け止めてしまいがちですけれど、年齢的なことを考えればありがたいことで、感謝しなくてはいけませんね。