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話題と期待があふれる大相撲初場所
話題と期待があふれている大相撲初場所が1月12日から東京・両国国技館で始まった。
2日目を終え、大相撲は何が起こるかわからないことを再確認した。乾燥でドライアイ気味の私だが、2日目の幕内の取組で感動のため2回泣いてしまい、ウルウルした眼(まなこ)になった。昨年12月に鑑賞した映画『劇場版ドクターX FINAL』以来の感動の涙だった。
涙が出たのは、2場所連続休場した横綱・照ノ富士が初日に小結・若隆景にあっけなくはたき込まれたものの、2日目は横綱の責任感を全身に表し、前頭筆頭・隆の勝を必死に寄り切った時だ。照ノ富士は満身創痍だ。昨年は全6場所のうち4場所休場したが、出場した2場所は優勝している。
私は昨年、NHKテレビ『スポーツ×ヒューマン』(再放送)で、『”横綱“と向き合い続けて』という照ノ富士への密着番組を見た。照ノ富士は「わけわかんないくらい考えちゃう。皆の見本となる存在でいなくちゃならない」と、横綱の地位を保ち続ける苦悩を語っていた。
2日目の全取組終了後、支度部屋のインタビューで照ノ富士は「今場所はやることやって駄目だったら…」と語ったと、NHKのアナウンサーが伝えていた。それを聞いた正面解説の境川親方(元小結・両国)が、「性格的に弱かったら、横綱なんて絶対になれませんから」と照ノ富士を励まし、照ノ富士ファンに期待をもたせる発言をしていた。
もう一番、感動で涙がでたのは、力をつけてきた前頭3枚目・王鵬が、初日に照ノ富士に勝利した若隆景を力強い押しで破った相撲である。私は若隆景のファンでもあるので気持ちは複雑だったが…。
昨年5月に両国国技館で一般公開の稽古総見を見に行った時に、王鵬が下位の力士とのぶつかり稽古を積極的にして、幕内力士が登場すると稽古をつけてもらいたくて必死だったのを見た。昨年秋場所は、取組中に、右目付近を負傷したが、それを気にせずに相手にあたり9勝した。場所後に右目眼窩底骨折と診断された。王鵬の冷静で強い心を感じた。
2日目は右の眉の上から血を流して、花道で救護の職員がガーゼのようなものを差し出していたが、傷を気にしている様子がなかった。どんどんと成長して、祖父の横綱・大鵬のような堂々とした大横綱になって欲しい。