謝罪とはどんな反応も受け止めること

ではBの「相手から何か言われるまで黙っている」とは、具体的にどういう行動を指すのでしょう か。遠巻きにして、相手から声をかけられるのを待つという意味ではありません。まずは近くに行って挨拶をするのが礼儀です。そこで相手が何かしらの反応を示したときに、次の行動を起こす。あくまで相手を主役にして考えればいいのです。

例えば「元気? 同じクラスだった✖✖です」と、自分から声をかけたとしましょう。相手がすごく嫌な顔をして自分を遠ざけようとしたら、「私が昔いろいろとしたことを不快に思っているのよね」と切り出してみる。相手が「そう。思い出したくないわ」と言ったら、ようやく「あのときは本当に申し訳ありませんでした」と謝罪ができるのです。

ここでもうひとつ心得ておくことがあります。それは、相手からどんな反応があっても、すべて受け止めること。例えば相手が「話したくない」と言って立ち去る場合もあるでしょうし、謝罪に対して「許せない」と言うかもしれません。受け入れてもらえないことも当然ありうるのです。そこで悶々としてしまうとしたら、それは心から反省していない証拠。もし「昔のことなんて全然気にしないで」と相手が許してくれるとか、仲直りできるなどと想定して謝罪するのだとしたら、厳しいようですが傲慢でしかありません。謝罪とはどんな反応も受け止めること。主役は相手だということを忘れないようにしましょう。

 

(イラスト◎大野舞)