理想的な老い方を探し求めて
私は2000年頃からしばらく『現代用語の基礎知識』の「高齢社会・介護の問題」の項の執筆者を務めていましたが、そこでもわりと早くから「人生100年時代」という言葉を取り上げていました。確か医師の日野原重明先生も、2002年頃からその言葉を使っておられたと記憶しています。体現されるかのように、先生は2017年に105歳で亡くなられました。
理想的な老い方とは、どのようなものなのか。老いの最前線にいながら、自分でも答えは見つかっていません。いつもお話ししているように、90歳以降の人生のあり方を見据え、世代を超えてよりよい社会にするためにはどうすべきなのかを考え続け、発信することが、私に課せられたテーマだと思っています。
発信することのひとつとして、この連載がありました。始めてから2年の間に起きたわが身の変化は、情けないことやうれしいことなどいろいろあって、なんとも驚きの連続。寝ている猫をかばってベッドから落ちたり、叱咤激励されながらリハビリしたり、介護保険制度や介護ヘルパー、年金問題のシンポジウムに出たり……お恥ずかしながら、私の日常のヒトコマを「実況中継」させていただきました。
今や私も、半ば隠居の身。ここ数年、いくつかの役職を退いたりするなど、少しずつ仕事に区切りをつけてきました。目下のスケジュールとして、12月開催が恒例のWABASの「女たちの討ち入りシンポ」に出席することを楽しみにしています。この連載もいったんひと区切りとさせていただきますが、人生100年時代の実相と実感をぜひみなさまにお伝えしたいので、新年もときどき誌上で「老いの実況中継」ができればと思っております。