松坂桃李さん主演の日曜劇場『御上先生』の「学校教育監修」としてクレジットされているのが、工藤勇一先生(教育アドバイザー)です。松坂さんはインタビューの中で「御上先生のモデルとなった工藤勇一先生の授業を受けさせていただきました。工藤先生の授業は本当に面白く、熱量と志にあふれていて、これは御上先生のモデルになるわけだなと…」と語っています。お芝居では、工藤先生の授業風景や話している姿も参考にしているとか。工藤勇一先生が教育について語った記事を再配信します。
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生徒の立場からはその仕事内容が見えにくい校長先生という仕事。みなさんはどのような印象をお持ちでしょうか。「校長の意識さえ変われば、学校全体が必ず変わります」と話すのは、千代田区立麹町中学校で校長として400項目以上の教育改革を実行してきた、工藤勇一先生。現在は、私立の横浜創英中学・高等学校の校長として、画期的な教育改革を実行し続けています。工藤先生曰く「金八先生がテレビで放送されるたびに、現場の教師の間でやや奇妙な反響が感じられるようになった」そうで――。金八先生の功罪
少し広い視野で、教育をめぐる社会の状況について振り返ってみましょう。
日本の学校教育をめぐる問題について、クローズアップして社会に伝える先駆的な役割を果たしたのが、テレビドラマ『3年B組金八先生』(TBS系、1979~2011年)だったと思います。
皆さんご存じのように、主人公である中学校教員の坂本金八先生が、3年B組の子どもたちの間に発生するさまざまな問題を体当たりで解決していくというストーリーでした。
この学園ドラマから、何でも解決してくれるスーパー教師像が生み出されていきました。熱血教師の姿に心を打たれて生徒たちが改心していくパターンの物語が、繰り返し描かれていたように思います。
ドラマがヒットしたことをきっかけに、非行、不登校、いじめ、暴力などさまざまな問題が学校の中で発生していることが知られていきました。そうした問題を、一所懸命解決しようという努力があることも、認知されていきました。
こうした意味でこのドラマが教育問題を広く世に伝えた役割は大きかったと思います。