傘立てに潜む思考
玄関空間で存在感を発揮しているのが傘立てです。私がお宅訪問をすると、まず一番に目に飛び込んできます。
傘立てには何が入っているでしょうか? もちろん傘が入っているのですが(それ以外のモノが入っているお宅も)、私の目には「無自覚」が入っていると映ります。
傘立てといえば、亡くなった母のことを思い出します。実家の傘立てには傘が20本ほど詰まっていました。一人暮らしなのに20本! その7年前に亡くなった父の傘まで入っています。
「なんでこんなに入っているの?」と鬼娘である私が聞くと、「お客さんが来たときに、帰りに雨が降ったら貸してあげられるでしょう?」と母。お客さんなど久しく来ていないのにもかかわらず。車移動の地域ですから、たとえお客さんが来ても雨に濡れることはありません。傘立てにはそんな「念のため思考」も潜んでいるのです。
靴を購入したときの空き箱が積まれているお宅もあります。この家の主も「引っ越しするときのために」空き箱をとっているといいますが、引っ越しの予定があるわけではないのです。頭の中で捏造している「念のため思考」です。
大切な入口であり出口である玄関を、そんな「無自覚」なモノたちでふさいではなりません。モノがなければ、掃除もしやすくなります。清潔で美しい空間にしましょう。