誰しもが「一番手」を目指す
昔、イギリス人の知り合いからこう言われたことがある。日本人は頑張り屋だからみんな社長になりたがる、と。たしかに、高度成長期の日本では一位を目指すことが美徳とされ、真面目な日本人は上昇志向が強かった。
今はもっと個人主義な時代で、どちらかというと事なかれ主義になってしまっているかもしれない。だが、組織に属していれば、どうやって頭ひとつ抜きん出ようかと、その頑張り方を模索する人も多いだろう。
とくに芸能界には、「番手」というものが存在する。「一番手、二番手……」と言う場合のあれだ。番手は、もともとは歌舞伎における役の出番を表すもので、芸能界では、最初のクレジットタイトルやエンドロールに名前が流れる順番のことを指す。
ドラマや映画だけでなく、バラエティ番組でさえ順番があり、年齢に関係なく、主役だったりMCだったり、その番組の中での貢献度や人気度が高い順に、一番手からクレジットされる。
また芸能界は、TVなら視聴率、映画や舞台なら興行成績、またありとあらゆるアンケート結果など、いつでも、どの方向からも順位づけされるという特殊な世界だ。だから誰しもが一番を目指し、それを目標に努力するのが常となる。演技や話術を磨き、その道の頂点を目指す。学校だったら成績一番、営業ならトップセールスマンを目指すように。