ひとり死サービスがほしい
島田 酒井家のお墓はどうするんですか?
酒井 兄の子どもである姪がもう少し大きくなったら、墓じまいかしら、と。そして私は樹木葬にしてもらう。海洋散骨は怖いので。「船の墓場」といわれるサルガッソー海に行ったらどうしよう、と。(笑)
島田 問題は、誰がそういうことをしてくれるのか。自然葬にしたいと思っても、それをちゃんと面倒みてくれる人がいるかどうか。
酒井 それが、おひとりさまには懸念材料ですよね。私は親きょうだいも子どももいないので、自分のお棺の蓋は自分で閉めないと(笑)。姪に迷惑をかけることへの恐怖がすごいです。死体は放置できませんから。
東 ま、そのくらいはやってもらいましょうよ。ただ、血縁関係のない人に託す手もありますよ。
酒井 ひとり死サービスみたいな、全部やってくれるパッケージ商品が必要ですよね。「無印良品の葬式」とか。(笑)
東 絶対に必要だし、これから増えていくんじゃないでしょうか。
酒井 島田先生の終活は?
島田 僕はちょうど50歳になるときに大病をして、40日間入院しました。あとから聞いたら、死ぬ確率が15%くらいあったそうです。僕の人生は、その前後で分かれる気がします。死というのは、本当にいつ訪れるかわからないと考えるようになりました。
東 じゃあ、財産を含めてもろもろ、終活の準備を始めたとか。
島田 いや、とくには。もともとモノに執着がないし、仕事柄、本はかなりありますが、それもわりと平気で売ってしまうので。
酒井 死後のことは、ご家族に任せているんでしょうか。
島田 再婚した妻は23歳離れていて、連れ子は高校生。若い家族がいるので、なんとかしてくれるだろう、と。
東 あまり、われわれの参考になりませんね。(笑)
島田 一度死んだようなものなので、この先いつ死んでも、おめでたいこととして見送ってほしいとは、本のあとがきに書きました。ただ、妻は僕の本を読まないので……。
酒井 伝わっていない。(笑)
東 私はエンディングノートを時々更新して書き直しています。これをあの人にあげたいと思っていても、また新たに大切な人ができたり、財産をここに寄付したいというのも、団体との関係が変わってきたりするので。書き直すと、自分の人生も振り返ることができます。