大阪・岸和田のコシノ洋装店に生まれたコシノヒロコさん、コシノジュンコさん、コシノミチコさんの三姉妹は、50年以上ファッション業界で世界的な活躍をしています。そんな三姉妹の初の共著『コシノ三姉妹 向こう岸、見ているだけでは渡れない』が、2025年1月10日に刊行されました。そのなかから、三者三様の人生哲学の一部をお届けします。5月23日からは、連続テレビ小説『カーネーション』のモデルになった母・小篠綾子さんとコシノ三姉妹の人生を描いた映画『ゴッドマザー コシノアヤコの生涯』も公開され、ますます目が離せない姉妹です。
仕事も生活も三者三様
ヒロコ ミッちゃんと会うのは、3月のお母ちゃんの慰霊祭以来よね?
ミチコ そうやね。母の命日と岸和田だんじり祭の2回、毎年必ず帰国するから。
ジュンコ ミッちゃんがロンドンに渡ったのは、1973年?
ミチコ 30歳のときだから、50年たつんかー。まったく気にしてへんかったけど。
ヒロコ 私だってデザイナーになって60年以上だもの。あっという間だったわね。
ミチコ ファッションの世界は、春夏、秋冬と新作を発表して、それが毎年続くやろ。だから、歩みを止めたら終わりやん。大変やけど、目の前のことに精いっぱい取り組んで、楽しんでいたら、気づけば何十年もたっていた。
ジュンコ 私は、年数を意識しない。若い人と仕事しているし、自分の年齢も一切考えないわ。
ミチコ 私も。イギリスでは、年齢を聞かれることがまったくないしね。私のブランドのコンセプトも変わらへんし、年をとったからといって感覚が変わるということも絶対にない。
ジュンコ そうね。年齢を意識したら、そこで止まってしまう。
ヒロコ 年齢は単なる数字だからね。でも、3人とも今も現役で、それぞれにブランドを立ち上げて、ここまでよくやってきたと思う。一つのことを長く続けるって、普通はなかなかできないものよ。自分を褒めてあげたい気分。