子どもの頃は取っ組み合いも

ヒロコ 小さい頃、お母ちゃんが仕事で忙しかったから、私は祖父母に預けられていたでしょ。祖父は初孫の私を溺愛して、歌舞伎や文楽に連れて行ってくれて。創作の源泉は、この頃に培われたのだと思う。

ジュンコ 私はすごくヤンチャで、お母ちゃんも手を焼いていたほど。

コシノヒロコ(中) コシノジュンコ(左) コシノミチコ(右)
(撮影:下村一喜/『コシノ三姉妹 向こう岸、見ているだけでは渡れない』より)

ヒロコ そうよ。祖父が亡くなって7歳で家に戻ったら、激しい妹がいるもんだから、ひ弱な私も強くなったわよ。(笑)

ミチコ 私は激しくないけど、(ジュンコさんを指さして)この人は激しいな。

ジュンコ ようケンカしたね。お姉ちゃんは口が達者やから、私はバシッとお腹を蹴って、取っ組み合いになる。(笑)

ヒロコ ジュンコとは2歳違いだからお互い対抗心があったけど、ミチコは私の6歳下でしょ。もう可愛くて仕方なかった。みんなに自慢したくて、赤ちゃんのミチコを小学校に連れて行って、机に座らせてね。

ミチコ よう、やるよな。

ジュンコ それ、本当なの? びっくりするわ。でもお母ちゃん、私たちのやることを止めたことないもんな。